「ブギしよう!~博多とロック vol.2~」柴山”菊”俊之トーク・ライヴ!
柴山“菊”俊之 トークライブ @music bar JUKE JOINT 2007/6/15
(この記事はジューク・ジョイントのコラムページより転載したものです)
質問者:松本“KINKY”康
――柴山さん還暦おめでとうございます。今のご心境は?
柴山 気がついたらなってたね。あんまり気にはしていないですよ。リセットするというのもあるし、還暦はね。これからまたゼロで新しく始めたいと思います。
――AERAにも載ったそうで。柴山さんも団塊の世代ではあるんですが、どういうメッセージを託したかったんでしょうか?
柴山 別にメッセージを託したとかいうのはなくて、レコードの宣伝をしてくれるっていうから出ただけで(笑)。
オレ、団塊の世代って言われても、あの人たちと同じような活動をしたわけでもないから。ま、元気な人がいるなあと、世の中にはこういう元気な人もいるんだと分かればいいかと思ったけど。
質問者:キョンキョン(女性のお客様)
――菊さんは昔から女性にすごく優しいんですが、でも我慢できずにキレて吐いた捨てゼリフは何でしょうか?
柴山 そんなことないよ。キレて吐いた捨てゼリフはないなあ。
――そんなに優しいんですか?
柴山 女の人にあんまりキツいこと言うたことない。嫌いな人には「近寄らんで」って言ったことあるけど、そばに来ないでって。(場内爆笑)それはキレたとかじゃなくて、もともと嫌いだから。
――受け付けない?
柴山 うん、受け付けない人は、もう。誰でもそうやない?嫌いな人はそばにいて欲しくないし。
――じゃあここにいる女性はみんな?
柴山 うん。別に嫌いな人はいないと思いますよ、全然、一人も。
――この世のどこかに菊さんのお子様はいますか?
柴山 オレの子供?おるかもしれないし、いないかもしれない。オレは知らないよ。
――未確認?
柴山 確認したことない。
――でもいるかもしれない?
柴山 それは分かんないもんねえ。おるかもしれないし。でも、今のところ言われたことないけど、「お父さん」とか。(場内爆笑)
バスの中で全然関係ない子供に、お父さんって言われたことあるけど。それは関係ないか。
――“6960”を下北251でされましたけど、“6969”は博多でしていただけませんでしょうか?
柴山 あ、いいですよ、します。生きてないかもしれんけどね。9年後ね、じゃあ、福岡でします。
質問者:緒方玄(当日のDJ)
――最近の柴山さんのインタビューで「ロックスターになりたい」とおっしゃっているのをいくつか読みました。ここにいる私たちにとって、柴山さんはもう既にロックスターだと思うんですが、ご自身の考えるロックスターとはどういうものでしょうか?
柴山 どんなものかというのは想像したことはないし、ただ自分の励みで言ってるだけなんですよ、本当は。言ってれば、どんどんそういうふうになっていくかもしれないし。なってみないと分かんないしね、ロックスターってどんなのか。
――今はロックスターであるとご自身では考えていないんですか?
柴山 いやあ、これはロックスターではないでしょう、まだ、全然。考えようによってはどうか知れんけど、オレは、とりあえずは、ロックスターとはまだ思ってないですよ。
――KEITHで音楽を始めたのはおいくつぐらいでしたか?
柴山 18、19くらいかな。
――それから42年間、作詞家に専念された時期も含めて、本当に長く音楽を続けてらっしゃって、途中困難なこともあったと思うんですけど、ここまで続けてこれた理由というのは何でしょうか?
柴山 やっぱりアレじゃない?音楽が好きだから。音楽が好きなんですよ、僕。
いろんな趣味がある人っていっぱいいるじゃないですか。オレまったく趣味がないんですよ。ギャンブルもしないし、例えばゴルフとかそういうのにも興味ないし、車にも興味ないし。もう音楽にしか興味がないんですよ。
あと興味があるとしたら、音楽と女と、洋服とかね。それぐらいしか興味ないんで。基本的にもう音楽中心の生活になってしまう。だからあんまりキツくもなかったし。普通でしたよ。
――じゃあ、長く音楽やってきてよかったなあと思われる瞬間とかは?
柴山 それも思わないしね。これがオレの人生ていうか、生活だと思ってるから。「ここまで音楽をやってきてよかったな」とかね、そういうことも思わない。他にあんまり考えることもないし、これからもずっとそうだと思います。ただ、やれてきたことに関しては、まあ運が良かったかもしれないなとは思います。
――明日6月16日のライブでは、Kiku’s Friendsとして、笠原久義さん(ex.KEITH)、篠山哲雄さん(ex.SONHOUSE)、浜田卓さん(ex.SONHOUSE)、鬼平さん(ex.SONHOUSE)、川嶋一秀さん(ex.SONHOUSE)、坂東嘉秀さん(ex.SONHOUSE)、山部善次郎さんと、そうそうたるメンツがスペシャルゲストとして登場します。どんな展開を考えていますか?
柴山 一人ひとり呼んで、メンバーに入れて(という展開で)。
――何曲もされるんですか?
柴山 そんなたくさんはしないですよ。彼らにもある程度ブランクもあるし、一番やりやすい状態でやってもらった方がいいし。
ただ、東京からね、人を呼びましょうっていう話があったんですよ、ゲストで。
オレの知り合いいっぱいいるから、マコちゃんでもそうやし、花田とかいろいろいるじゃないですか。ああいう人たちを呼ぼうっていう話があったんですけど、オレ福岡にもいっぱい音楽の友達がいるから断って。それが一番大事だと思った。
だからステージでいいプレイができるかどうかよりは、笠原とか浜田とかがいい気持ちでやってくれたらいいな、と。
――いいですねえ。Zi:LiE-YA のライブでは、毎回、メンバーが一丸となったバンドサウンドに圧倒されます。相当リハーサルを重ねてらっしゃると思いますが。
柴山 いや、1週間に1回してるだけですよ。本当はもっとした方がいいけど、生活もあるやろうしね、みんなの。音楽は毎日やった方がいいですよ。
本当はね、音楽って、やっぱバンドでもそうやし、毎日やってた方が絶対いいですよ。
――では、柴山さん自身は今のZi:LiE-YA をどのくらい評価されているんでしょうか?
柴山 今は、60点ぐらい。
――!まだまだ上があると?
柴山 それは死ぬまであるでしょう、きっと。最終的にもうこれでいいって思ったら、多分、もうZi:LiE-YA もやめるやろうし、歌もやめるかもしれないし。
――やめちゃうんですか?
柴山 もうこれ以上満足することが無くなったらね。多分、死ぬまで満足せんやろうとは思いますけど。…60点あるかないかぐらいかな、50点ぐらいかな。
――客席で大神さん(KIKU FACTOR=柴山さんの福岡での活動をサポート)が拍手してらっしゃいますが。
柴山 ホントに。オレははっきりメンバーにもそう言うもん。
――厳しいですねえ。
柴山 いや、厳しいとかじゃなくて、理想は高い方がいいと思うしね。遊び半分でやってないし。他のメンバーも食べていけるようにちゃんと、してもらいたいと思うから。
打ち上げするためにね、バンドやるみたいな、バンドやった後に打ち上げするじゃないですか、そっちでわんわん騒いでバンドは適当で、っていうような、そういうバンドにはオレはなりたくないから。
打ち上げはするけど、バンドはそれよりもちゃんと、もっときちっとやるという、そういう信念でやってるんで。
はっきり言いますよ、ダメなときは。お世辞言って、「大丈夫よ大丈夫よ」とかそんなこと言わないですよ。それは当たり前だと思う。子供じゃないんだから。
二十歳(はたち)ぐらいだったら許してやってもいいけど、もう40もなったらね、そんなものはちゃんと自分でクリアして練習場所に来ないとやっぱりダメだと思いますよ。そういう集団にならないと、もう日本のロックは多分終わるでしょう。もうほとんど終わってるけどね。
――そうですか?
柴山 うん、終わってると思いますよ。
――でもZi:LiE-YA とかシーナ&ザ・ロケッツとかありますよね。
柴山 オレたちは終わってないけど(笑)、他はほとんど終わってると思いますよ。
――このイベントは「博多とロック」というテーマでやっているんですが、今、柴山さんは博多の街についてどういうふうに思われますか。
柴山 オレが東京に出ていってもう30年ぐらいになるじゃないですか。で、生まれた頃とはもうまったく違うし、出て行く頃とも違うし、今の博多をどんなふうに感じますかって言われても、変わっちゃってて、懐かしいなあとかいうことがまずないですよね、はっきり言って。
友達と会ったりするときとかは(あるけど)。帰ってきても1週間とか10日とかね、そんなに居ないでしょう。1日とか2日とかしかいないから、多分、そういう実感が湧かないのかもしれないですね。景色変わっちゃったしね、凄く。
――柴山さんは確か、この辺(天神3丁目)で生まれ育ったとか…。
柴山 そう、昔のジューク・レコードの隣の(あたり)。文六ていううどん屋さんがあるの知ってます?
――今ありますか、文六?
――(“踊る”社長=柴山さんの旧友)ソバ屋さん!
――(松本“kinky”康)ホテルアセントのところ。
――あーっ、あそこですか?
柴山 あれの向かい、あそこで生まれたんですよ。
――そうですか。大体天神近辺で、こう、いろいろ悪いこととかしてたんですか?
柴山 悪いことはしていないけど(笑)。昔、材木町て言ってたんですよ、あそこ。いっつもフラフラフラフラしてましたよ、天神とか、中洲とか。
――(“踊る”社長)アウトリガーのハンバーガーとかね。
柴山 うん。アウトリガーのハンバーガー…、いましたよ。あんまり食ってなかったですよ、僕。コーヒーばっかり飲んで。
――「悪いことしてた」っていうのは、去年、テレビ九州の番組に柴山さんが出演されて、「昔はヤクザの事務所で着替えて、ダンスホールに行っていた」という話をしてらっしゃったので。
柴山 高校2年ぐらいまでですよ。
――ヤクザの事務所に行ってたんですか?
柴山 義務教育が終わったら就職しようと思ってたんですよ、ヤクザの組に。昔は、ですよ。今はそんなこと思ってないよ。
そしたら、ヤクザの組長みたいな人がいるじゃないですか、「高校はちゃんと行け」って言われてね。言われたから、良かったなとは思ってますね。
それと、知り合いも笠原っていうやつと出会って、音楽をするようになったから、今考えたら、良かったなと思いますよ。
――その頃音楽を聴き始めたんですか?
柴山 音楽は小学校の頃から聴いてましたよ。ラジオつければ音楽が鳴ってたし、うちには兄弟もいるんで、自然にいろいろ聴いてた。歌謡曲とかの方が多かったけれど。
――音楽を意識し始めて、「わあいいな」とか「自分も歌いたいな」とか思い始めたのは…。
柴山 笠原と知り合って、いいなあと思ったのが一番最初。本当に音楽やろうと思ったのはもっと先ですけどね。
――最初に買ったシングル盤はなんでしょうか?
柴山 最初に買ったシングル盤は「アンチェイン・マイハート」。
――レイ・チャールズの…。
柴山 レイ・チャールズの「アンチェイン・マイハート」っていう曲を初めて覚えたんで、それかな。
――それは人前で歌われたんですか?
柴山 そう。KEITHのときに初めて覚えた歌が「アンチェイン・マイハート」。
――邦題は何でしたっけ?
柴山 「僕は自由」でしょ。
――好きなミュージシャンは誰でしょうか?今日の柴山さんが好きな人やグループは?
柴山 死んだ人でもいいですか?
――はい。3組挙げるとしたら。
柴山 マディ・ウォーターズとジム・モリソンと、あと誰かな、エリック・バードンかな。ハウリン・ウルフも好きだけど、3人挙げれて言われても困るけんね。2人やったら、ジム・モリソンとマディ・ウォーターズ。
――鮎川さんの本に「柴山さんは博多で一番最初に輸入盤の封を切る男」とあったんですが、今でも新しいものは聴いてらっしゃるんですか?
柴山 新しいヤツは…、聴かないですね。耳には入ってくるけど。スカパーとかに入っているんで、音楽は自然と新しいヤツは聴けるけど、あんまり興味はないかな。
――興味ないんですか?
柴山 うん、60年代の終わりごろの、その頃オレが知らなかったガレージのバンドとかサイケのバンドとか、そういうのには興味がある。
ドイツとかのレーベルから、アメリカのバンドでね、ドイツとかイタリアとかから出してるんですよ。そういうのを買ったりはするけれど、新しいのはもう、聴かないですね。
――ナインインチネールズとかを好きだったと聞いたことがありますが。
柴山 それももう古いでしょう。ナインインチネールズはちょっと好きやったけど、オルタナ系はもう聴かないですね、全然、今はね。あの辺のヤツはいっぱい持ってたけど、全部売ったですもん。売りましたね。
――そういえば、あまり手元に音源を置いておかない人と聞いたんですけど。売ったりあげたりされて。
柴山 いや、しないですよ。欲しいものはずっと(持ってます)。ただサンハウスをやめて東京に出るとき、ジューク・レコードにまとめて売ったことはありますね。
――この店にも柴山さんのサインが入ったサム・クックのレコードがあったりしますもんね。
――(松本“kinky”康)あれは個人的に昔、ジューク・レコード以前に売ってもらったんですよ。
柴山 そういうことはあったけど、でも今は後悔してますよ、売らんどきゃよかったって。また買わないといけなくなっちゃったんで。今買うと高かったりするんでね。

――最新アルバム「ろくでなし稼業」は、ジャケットが「仁輪加」のジャケットと一緒というか…。
柴山 はい。一緒ではないけどね。
――作り直されたんですか?
柴山 はい、最初からやり直してきれいに書き直してもらって。
――どういうきっかけだったんでしょうか?
柴山 あれはもともと、いつか使えたら使いたいなと思ってたんですよ。
むやみやたらに使ってもしょうがないし、たまたま今回のイメージに合ったんで頼んでみたら、(作者の)原田さんが「そのままをするよりは新しく描きかえましょう」っていうことで。
――今回は「ろくでなし稼業」、前作は「悪名ロック」とアウトサイダー的なタイトルがついていて、柴山さんの曲にもそういうイメージのものが多くあるんですが、柴山さん自身はアウトサイダー的な人なんでしょうか?
柴山 いや、違いますよ。普通の人ですよ。
――普段は何してるんですか、とか聞いても大丈夫ですか?
柴山 普段は…、家にいますよ、じっと。レコード聴いたり、散歩したり。もう新宿とか渋谷とか、夜の街に出て行って酒飲んだりとかはしないです。普通の、割と普通の生活してますよ。
――憧れの人の普段の生活を聞いてしまいました。感激しました。今日はどうもありがとうございました。
以上
