柳川から電車に乗って、終着地点はいつも親不孝のジュークレコード

  

実家は柳川の漁師町で。はじめてライブに行ったのは小3の北島三郎(笑)
テレビで見たらサブちゃんが竜に乗って歌ってて、「これはただ者じゃない!」と子ども心に衝撃を受けて。観に行きたいって言ったら母親がチケット取ってくれました。
そのあとは特に音楽聴いてたわけじゃなかったんだけど、母親がお店でコブクロの「蕾」とクロマニヨンズのCDどっちを買うか悩んで結局クロマニヨンズを買って。そこからずーっと車でクロマニヨンズがかかってて。
で中学生のときなんかの拍子にハイロウズを聴いて「CDが欲しい!」ってなってブックオフでハイロウズコーナーをガサっと買ったらブルーハーツが混じってたんですよ。おんなじコーナーに入れられてて。で「青空」を聴いたら涙が出て。そこで母親に「ぜんぶおんなじ人よ」って言われて(笑)結局3回ヒロトとマーシーにハマってますね。
 でこの人たちの好きな音楽を掘り下げよう!と思って昔のインタビュー本やラジオを聴いて調べて。田舎なんでCDは電器屋とかにしかなくて苦労しながら、最初はサム・クックが好きになってピストルズに行って、その後あんまりパンクを聴かずにブルースを聴きだして。ハウリンウルフとか。でもそういうやつは地元ではほんと売ってないんですよ。
 そのころ、高校のファッションデザイン科に入って。周りヤンキーしかいないクラスだったけど先生に言われてデザインコンテストに出せと。入賞したら賞金もらえるんですよ!1万円くらいもらえたら天神に遊びに行って買い物できる!って頑張りました。

でネットで調べたら出てきたジュークレコードにはじめて行って。そしたらディープ・パープルとか海外のアーティストさんみたいな大きな人がいて、それが松本さんでした。 
いつのまにかよくしゃべるようになって、母が病気で倒れたときとかすごく心配してくれました。はじめて絵の個展したときもすごく喜んでくれて。ほかの人に話聞くまで
(松本の追悼イベントで参加者が披露したエピソード)松本さんがけっこう塩対応って知らなくって(笑)すごく優しくしてもらいました。スタンプもいつも倍くらい押してくれるし。

 AC/DCが大好きで、いっつもレコード探してたんだけどどこにもなくて。ある日ジュークの棚で探したら、すごくたくさんあったんですよ!
興奮してレジに持っていったら松本さんが「涼ちゃんが今日あたり来ると思ってたからさっき並べた」って言ってくれて「うわ!かっこいい!」ってなって(笑)
ダムドのLP買ったときは「これはSTIFFレーベルってイギリスで設立されたインディーレーベルから出たもので、ヒロトさんもこのレーベル好きでよく集めているよ」って教えてもらって。それまでレーベルってものを意識したことがなかったからなんかすごいこと聞いた!って気持ちでした。のちにヒロトがラジオで「きょうはSTIFFレーベルのシングル盤をかけてみようかなと思っています」としゃべってるのを聞いてほんとだ!ってなりました(笑)

でも松本さんがキンクスとかビーチボーイズ好きだったってのは全然知らなくて、亡くなって閉店セールのときにたまたま買ったのがキンクスとビーチボーイズ。ずっと探してるサム・クックのライブ盤は結局ジュークじゃ買えませんでした。
 で鮎川さんの映画が上映されるって知って、ヒロトがコメント出すから見なきゃ!って
行ったら思ってた以上に松本さんが出てきてボロボロ泣いちゃって。その流れでジュークジョイントであった松本さんのドキュメンタリー番組上映に行ったら、そのときかかった曲がマーベレッツの「Please Mr.Postman」で。最初にジュークレコードに行ったときに流れてた曲だったんですよね…


柳川から電車に乗って、終着地点はいつも親不孝のジュークレコード。レコードを見に行くのはもちろんだけど、私は松本さんに会いに行くことの方が嬉しくて。自分の憧れだったファンタジーの世界。まるで夢のような場所でした。

今でもたまに、目的もなくあの場所を通ります。
そのおかげで、この前は野良のポール・シムノン※に会えたし(笑)松本さんのおかげです!

石川涼(イラストレーター)

※ポール・シムノン 先日DJツアーで来福していた元クラッシュのベーシスト